イザヤ書

本文「はしがき」から抜粋

本書は、イザヤ書66章の内の1章から27章までで、全体の半分もありません。しかし、イザヤ書全体の精神は把握して頂けると思います。本書に用いた資料などは既に古くなってしまいましたが、その内容は現在でも少しも訂正の必要はないと思います。約2700年前のイザヤの預言が、今日の世界にそのまま当てはめられるのを見れば、それは当然です。

久しく続いた東西の冷戦構造が壊れて、世界状勢は現在増々複雑になって来ました。そして人類が、「人はみな兄弟姉妹」と言って仲良く生きることは、いよいよ難しくなって来ました。それは人類が、世界の中に普遍的な共通の価値観とか人生観とかを見いだせなくなってしまったからです。旧ソ連邦の解体で、1つの国が一挙に15になり、ユ-ゴスラビアも4分5裂となり、かしこにいつ平和が訪れるのか想像もできません。キリスト教徒とイスラム教徒との反目、ユダヤ教徒とイスラム教徒との反目、民族と宗教の相違による争いが絶えません。人類のこのような絶えざる反目と争いとに終止符を打つには、キリストの愛読書であったイザヤ書を、私たちも今学ぶ必要があると思います。そして、預言者イザヤが示してくれた真理の言葉を心より受け入れ、更に、イザヤの預言を完全に成就してして下さった主イエス・キリストを私たちの主として信じ、仰ぎ見る以外にないと私は思います。もし人類が心を一つにしてキリストのみ前にぬかずくならば、イザヤの次の預言は、この地上に事実となることでしょう。

「こうして彼ら(世界の民)はそのつるぎ(武器)を打ちかえて、すき(農具)とし、そのやり(ミサイル)を打ちかえて、かま(収穫道具)とし、国は国にむかって、つるぎをあげず、彼らはもはや戦いのことは学ばない。(イザヤ書2章4節)」
【1985年5月29日  福田秀雄】
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