出エジプト記

本文「はしがき」から抜粋

出エジプト記は、そのほとんどをエジプト脱出後1年間の出来事を記すのに費やしています。その中で特筆すべき事は、モーセがシナイ山頂で神から「十戒」を賜わった事と、イスラエルの民が大変な苦境にありながら「神の幕屋」を造った事です。そしてイスラエルの民はこの時以後、その幕屋内で毎日小羊の犠牲を捧げました。

当歳の小羊2頭を毎日絶やすことなくささげなげればならない。その1頭の小羊は朝にこれをささげ、他の1頭の小羊は夕にこれをささげなければならない。
(29・38,39)。

とあるとおりです。そしてこの小羊の犠牲の血は、やがて来るべき真の「神の小羊」の代用だったのです。モーセの時より千数百年後、バプテスマのヨハネはキリストをこの世に紹介して次のように告げました。

「見よ、世の罪を取り除く神の小羊」(ヨハネ 1・29)

「出エジプト記」をよく読み、聖霊の助けによってこれを深く理解することができた時キリストの福音、キリストの十字架の真義を一層深く解し得るようになれます。出エジプト記は、今より三千数百年前のイスラエル民族の歴史的経験を記すだけでなく、それはやがて来るべき本当のものの雛型、または模型を記しているのです。

この小書により、本書読者諸氏が旧約聖書をより愛読する端緒を与えられ、更に主イエス・キリストを真に愛し、深く信じ得る機会を与えられるならば、著者の喜びと感謝は尽きません。
【1985年5月29日  福田秀雄】
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